東京都美術館 企画展「フィン・ユールとデンマークの椅子」レポート vol.2
東京都美術館 企画展「フィン・ユールとデンマークの椅子」レポート vol.2
東京都美術館 企画展「フィン・ユールとデンマークの椅子」 会場前で出迎えてくれるメインヴィジュアル
東京都美術館 企画展「フィン・ユールとデンマークの椅子」
会場前で出迎えてくれるメインヴィジュアル

7月23日から開催している東京都美術館の企画展「フィン・ユールとデンマークの椅子」について、先日こちらの記事でご紹介させていただきました。

東京都美術館 企画展「フィン・ユールとデンマークの椅子」レポート
https://www.italia-kagu.com/pf/report-on-the-tokyo-metropolitan-art-museum-finn-juhl-and-danish-dhair/

配信後、嬉しい反響をいくつもいただきましたこと、誠にありがとうございます。実際に足を運んでくださるきっかけになれたならばとても嬉しいです。当展覧会の開催期間はあと一ヶ月程。10月9日までとなっております。ご興味をお持ちになられた方は是非ともお時間をとってご覧に行かれますことを心からお勧め致します。今回のレポートvol.2では、前回ご紹介しきれなかった作品について触れさせていただきたいと思います。

東京都美術館 企画展「フィン・ユールとデンマークの椅子」 会場前で出迎えてくれるメインヴィジュアル
東京都美術館 企画展「フィン・ユールとデンマークの椅子」
会場前で出迎えてくれるメインヴィジュアル

7月23日から開催している東京都美術館の企画展「フィン・ユールとデンマークの椅子」について、先日こちらの記事でご紹介させていただきました。

東京都美術館 企画展「フィン・ユールとデンマークの椅子」レポート
https://www.italia-kagu.com/pf/report-on-the-tokyo-metropolitan-art-museum-finn-juhl-and-danish-dhair/

配信後、嬉しい反響をいくつもいただきましたこと、誠にありがとうございます。実際に足を運んでくださるきっかけになれたならばとても嬉しいです。当展覧会の開催期間はあと一ヶ月程。10月9日までとなっております。ご興味をお持ちになられた方は是非ともお時間をとってご覧に行かれますことを心からお勧め致します。今回のレポートvol.2では、前回ご紹介しきれなかった作品について触れさせていただきたいと思います。

ボーエ・モーエンセン "デイベッド(サッカーソファ)" (1958) 織田コレクション
ボーエ・モーエンセン “デイベッド(サッカーソファ)” (1958)
織田コレクション
アルネ・ヤコブセン "スワンチェア" (1958) 織田コレクション
アルネ・ヤコブセン “スワンチェア” (1958)
織田コレクション
ボーエ・モーエンセン "デイベッド(サッカーソファ)" (1958) 織田コレクション
ボーエ・モーエンセン “デイベッド(サッカーソファ)” (1958)
織田コレクション
アルネ・ヤコブセン "スワンチェア" (1958) 織田コレクション
アルネ・ヤコブセン “スワンチェア” (1958)
織田コレクション
グレーテ・ヤルク "プライウッドチェア" (1963) 織田コレクション
グレーテ・ヤルク “プライウッドチェア” (1963)
織田コレクション
ナンナ・ディッツェル "二人掛けベンチ" (1990) 国際家具デザインフェア旭川開催委員会
ナンナ・ディッツェル “二人掛けベンチ” (1990)
国際家具デザインフェア旭川開催委員会
グレーテ・ヤルク "プライウッドチェア" (1963) 織田コレクション
グレーテ・ヤルク “プライウッドチェア” (1963)
織田コレクション
ナンナ・ディッツェル "二人掛けベンチ" (1990) 国際家具デザインフェア旭川開催委員会
ナンナ・ディッツェル “二人掛けベンチ” (1990)
国際家具デザインフェア旭川開催委員会
“Danish masterpiece chairs”
今展覧会は東京都美術館のギャラリーA・B・Cを使用し、一日では見足りない程の数・質ともに充実したコレクションが並べられております。まずは第一章の”デンマークの椅子 ― そのデザインがはぐくまれた背景”のコーナーで、著名なデザイナーの優れた作品をご覧ください。古くは18世紀中頃~20世紀の終盤までに渡る鮮やかなコレクションは、目を見張るものがございます。
“Danish masterpiece chairs”
今展覧会は東京都美術館のギャラリーA・B・Cを使用し、一日では見足りない程の数・質ともに充実したコレクションが並べられております。まずは第一章の”デンマークの椅子 ― そのデザインがはぐくまれた背景”のコーナーで、著名なデザイナーの優れた作品をご覧ください。古くは18世紀中頃~20世紀の終盤までに渡る鮮やかなコレクションは、目を見張るものがございます。
(左)フィン・ユール "グラスホッパーチェア" (1938) (右)モーエンス・ヴォルテレン "コペンハーゲンチェア" (1936) ともに 織田コレクション
(左)フィン・ユール “グラスホッパーチェア” (1938)
(右)モーエンス・ヴォルテレン “コペンハーゲンチェア” (1936)
ともに 織田コレクション
“Finn Juhl and Niels Vodder”

第二章の”フィン・ユールの世界”のコーナーに入ると、この2脚が迎えてくれます。右の”コペンハーゲンチェア”はデンマーク王立芸術アカデミーにおいてフィン・ユールの一年先輩にあたるモーエンス・ヴォルテレンの作品。座の延長が後脚となる構造は、安楽性の高い掛け心地が得られます。この作品を製作したニールス・ヴォッダーをユールに紹介したのがヴォルテレンでした。この出会いが後にユールを世界的デザイナーとして誕生させるきっかけとなります。

左側のフィン・ユールの作品、”グラスホッパーチェア”は、1938年秋のコペンハーゲン家具職人組合展示会に、ニールス・ヴォッダーから2脚のみ製作され出品されました。”バッタ”を意味する名を冠するこの椅子は、複雑な形状をした部材が様々な角度で接合されており、デザイナー・ユールの独創的なアイデアと、職人・ヴォッダーの卓越した技術がはっきりと見て取れる作品です。2018年にパリで開催されたオークションにオリジナルの1脚が出品され、なんとおよそ4億円で落札されたそうです。

(左)フィン・ユール "グラスホッパーチェア" (1938) (右)モーエンス・ヴォルテレン "コペンハーゲンチェア" (1936) ともに 織田コレクション
(左)フィン・ユール “グラスホッパーチェア” (1938)
(右)モーエンス・ヴォルテレン “コペンハーゲンチェア” (1936)
ともに 織田コレクション
“Finn Juhl and Niels Vodder”

第二章の”フィン・ユールの世界”のコーナーに入ると、この2脚が迎えてくれます。右の”コペンハーゲンチェア”はデンマーク王立芸術アカデミーにおいてフィン・ユールの一年先輩にあたるモーエンス・ヴォルテレンの作品。座の延長が後脚となる構造は、安楽性の高い掛け心地が得られます。この作品を製作したニールス・ヴォッダーをユールに紹介したのがヴォルテレンでした。この出会いが後にユールを世界的デザイナーとして誕生させるきっかけとなります。

左側のフィン・ユールの作品、”グラスホッパーチェア”は、1938年秋のコペンハーゲン家具職人組合展示会に、ニールス・ヴォッダーから2脚のみ製作され出品されました。”バッタ”を意味する名を冠するこの椅子は、複雑な形状をした部材が様々な角度で接合されており、デザイナー・ユールの独創的なアイデアと、職人・ヴォッダーの卓越した技術がはっきりと見て取れる作品です。2018年にパリで開催されたオークションにオリジナルの1脚が出品され、なんとおよそ4億円で落札されたそうです。

フィン・ユール "イージーチェア(プロトタイプ)" (1948) 織田コレクション
フィン・ユール “イージーチェア(プロトタイプ)” (1948)
織田コレクション

1937年に家具職人組合の展示会で家具デザイナーとしてデビューしたフィン・ユール。家具職人ニールス・ヴォッダーとのタッグにより代表作の数々が生まれてゆきます。

ペリカンチェア(※)のような張りぐるみの椅子に観られる有機的なフォルムや、今回の展覧会のメインヴィジュアルともなっているイージーチェア No.45(※)などにみられる曲線の際立つアームは、ハンス(ジャン)・アルプやヘンリー・ムーアなど、ユールが関心を寄せた抽象彫刻を彷彿とさせるといわれています。

展示会のスペースには家具とともに美術作品が置かれ、1948年の展示会では「アート・コレクターのリビング」というテーマのもと、”イージーチェア(プロトタイプ)”などが発表されました。

(※の椅子は前回のレポートでご紹介しておりますので是非ご覧ください。)

フィン・ユール "イージーチェア(プロトタイプ)" (1948) 織田コレクション
フィン・ユール “イージーチェア(プロトタイプ)” (1948)
織田コレクション

1937年に家具職人組合の展示会で家具デザイナーとしてデビューしたフィン・ユール。家具職人ニールス・ヴォッダーとのタッグにより代表作の数々が生まれてゆきます。

ペリカンチェア(※)のような張りぐるみの椅子に観られる有機的なフォルムや、今回の展覧会のメインヴィジュアルともなっているイージーチェア No.45(※)などにみられる曲線の際立つアームは、ハンス(ジャン)・アルプやヘンリー・ムーアなど、ユールが関心を寄せた抽象彫刻を彷彿とさせるといわれています。

展示会のスペースには家具とともに美術作品が置かれ、1948年の展示会では「アート・コレクターのリビング」というテーマのもと、”イージーチェア(プロトタイプ)”などが発表されました。

(※の椅子は前回のレポートでご紹介しておりますので是非ご覧ください。)

フィン・ユール "ポエトソファ" (1941) デニッシュインテリアス株式会社、 フィン・ユール "チーフテンチェア" (1949) 織田コレクション 等
フィン・ユール “ポエトソファ” (1941) デニッシュインテリアス株式会社、
フィン・ユール “チーフテンチェア” (1949) 織田コレクション 等
“Finn Juhl, Colour and art”

フィン・ユールの作品を語る上で、色彩感覚の豊かさ、彫刻や美術への関心の深さについての言及は不可欠でしょう。

デンマーク王立芸術アカデミー建築科に入学した18歳のフィン・ユールは同年に訪れたストックホルム博覧会でヨーロッパの機能主義建築に触れます。22歳の時に描いた初期の建築ドローイング”家の外観のドローイング”は、装飾を排した直線的な構造を特徴とするモダニズムの影響が見て取れますが、美しい淡いカラーのハーモニーは既に健在です。

フィン・ユールは1949年のデンマーク芸術工芸協会で行ったレクチャーにおいて、ハンス・アルプ、アレクサンダー・カルダー、バーバラ・ヘップワースらの彫刻に触れ、部分と部分の関係性、部分と空間の関係性、そこに生まれる緊張感と運動の気配などについて論じました。「形を生み出す家具職人の能力は彫刻家のそれと同じである。椅子は単なる日用品ではなく、それ自体がフォルムであり、空間である」という彼の言葉からも、椅子のデザインにおいてユールが彫刻的なアプローチを意識していたことがうかがえます。

今回の展覧会場では、フィン・ユールが1942年に建設した自邸の内観を模して、柔らかい色彩の中で、実際にユールが使用していたように家具達が並ぶ”部屋”風の展示を楽しめます。

フィン・ユール "ポエトソファ" (1941) デニッシュインテリアス株式会社、 フィン・ユール "チーフテンチェア" (1949) 織田コレクション 等
フィン・ユール “ポエトソファ” (1941) デニッシュインテリアス株式会社、
フィン・ユール “チーフテンチェア” (1949) 織田コレクション 等
“Finn Juhl, Colour and art”

フィン・ユールの作品を語る上で、色彩感覚の豊かさ、彫刻や美術への関心の深さについての言及は不可欠でしょう。

デンマーク王立芸術アカデミー建築科に入学した18歳のフィン・ユールは同年に訪れたストックホルム博覧会でヨーロッパの機能主義建築に触れます。22歳の時に描いた初期の建築ドローイング”家の外観のドローイング”は、装飾を排した直線的な構造を特徴とするモダニズムの影響が見て取れますが、美しい淡いカラーのハーモニーは既に健在です。

フィン・ユールは1949年のデンマーク芸術工芸協会で行ったレクチャーにおいて、ハンス・アルプ、アレクサンダー・カルダー、バーバラ・ヘップワースらの彫刻に触れ、部分と部分の関係性、部分と空間の関係性、そこに生まれる緊張感と運動の気配などについて論じました。「形を生み出す家具職人の能力は彫刻家のそれと同じである。椅子は単なる日用品ではなく、それ自体がフォルムであり、空間である」という彼の言葉からも、椅子のデザインにおいてユールが彫刻的なアプローチを意識していたことがうかがえます。

今回の展覧会場では、フィン・ユールが1942年に建設した自邸の内観を模して、柔らかい色彩の中で、実際にユールが使用していたように家具達が並ぶ”部屋”風の展示を楽しめます。

フィン・ユール "フィン・ユール邸の図面" (1963) デンマーク・デザイン・ミュージアム
フィン・ユール “フィン・ユール邸の図面” (1963)
デンマーク・デザイン・ミュージアム

自ら描かれた”フィン・ユール邸の図面”に現れている通り、平屋のL字型、シンプルな外観の自邸はそれぞれの部屋につながる間口も大きく、美しい森の緑を見渡せる大きな窓があちこちに設けられ、壁や床、屋根や天井が淡い色彩で塗り分けられているのが大きな特徴です。自らデザインして使い込んだ家具や食器などの日用品、絵画や彫刻、そして緑豊かな森の景色が響き合う空間は、全体と部分の調和という、ユールのデザインに対する考え方が具現化された”作品”といえるでしょう。

ユールはコペンハーゲン市内にオフィスを構えていましたが、1966年以降はコペンハーゲン北に位置するオードロップゴーに建つこの家を住居兼仕事場とし、生涯ここに住み続けました。現在はオードロップゴー美術館が管理し、一般に公開されているそうです。

フィン・ユール "フィン・ユール邸の図面" (1963) デンマーク・デザイン・ミュージアム
フィン・ユール “フィン・ユール邸の図面” (1963)
デンマーク・デザイン・ミュージアム

自ら描かれた”フィン・ユール邸の図面”に現れている通り、平屋のL字型、シンプルな外観の自邸はそれぞれの部屋につながる間口も大きく、美しい森の緑を見渡せる大きな窓があちこちに設けられ、壁や床、屋根や天井が淡い色彩で塗り分けられているのが大きな特徴です。自らデザインして使い込んだ家具や食器などの日用品、絵画や彫刻、そして緑豊かな森の景色が響き合う空間は、全体と部分の調和という、ユールのデザインに対する考え方が具現化された”作品”といえるでしょう。

ユールはコペンハーゲン市内にオフィスを構えていましたが、1966年以降はコペンハーゲン北に位置するオードロップゴーに建つこの家を住居兼仕事場とし、生涯ここに住み続けました。現在はオードロップゴー美術館が管理し、一般に公開されているそうです。

フィン・ユール "イージーチェア" (1940年代頃) 織田コレクション
フィン・ユール “イージーチェア” (1940年代頃)
織田コレクション
フィン・ユール "カードゲームテーブル" (1955) 織田コレクション
フィン・ユール “カードゲームテーブル” (1955)
織田コレクション
フィン・ユール "イージーチェア" (1940年代頃) 織田コレクション
フィン・ユール “イージーチェア” (1940年代頃)
織田コレクション
フィン・ユール "カードゲームテーブル" (1955) 織田コレクション
フィン・ユール “カードゲームテーブル” (1955)
織田コレクション
フィン・ユール "壁掛け時計" (1950-52) 織田コレクション
フィン・ユール “壁掛け時計” (1950-52)
織田コレクション
フィン・ユール "ターニングトレイ" (1956) 織田コレクション
フィン・ユール “ターニングトレイ” (1956)
織田コレクション
フィン・ユール "壁掛け時計" (1950-52) 織田コレクション
フィン・ユール “壁掛け時計” (1950-52)
織田コレクション
フィン・ユール "ターニングトレイ" (1956) 織田コレクション
フィン・ユール “ターニングトレイ” (1956)
織田コレクション
“Ingenuity and beauty in detail”

第二章で見られる数々の作品の中で、フィン・ユールが試みた様々な挑戦・工夫を垣間見ることが出来ます。高度な技術・木材が用いられることで人々にとって高価だった家具が、次第に機械による量産可能なデザインを必要とするようになってきた流れの中で、フィン・ユールも機械生産に適したデザインに向かってゆきます。その製作を最初に担ったボヴィルケ社によるこの”イージーチェア”は、フィン・ユール作品のうちで最も手加工を擁する肘部分の処理を成形合板を曲げ、なおかつカッティングによって有機的な美しい曲面に仕上げることを目指した作品だそうです。量産向けであってもユールならではのアイデアに満ちたボヴィルケ社の椅子は、後にデンマーク国外にも輸出されました。”カードゲームテーブル”はカードを引き寄せやすくするためにコーナーがせり上がっている造りや、輸送に配慮されたノックダウン構造(部品の状態で輸送し、現地で組み立てられる)の脚に創意工夫が見られる上に、チーク材のネジ隠しにメープル材が使用されるなど、細やかなディテールの美しさにも満ちています。

ユールは家具だけではなく、日用品もデザインしました。”壁掛け時計”は国連の信託統治理事会議場の設計時、その一部として生み出された作品だったとのこと。チェアや壁紙に至るまで空間全体を一体として設計した為、こちらの時計も長らく、この場所でしか見ることが出来ないものだったそうです。この時計はチーク材で出来ておりますが、フィン・ユールは難しいと言われていたチーク材の加工方法を改善することでデンマーク家具の主要な材料に確立したことでも有名だそうです。また、反対面が別の色で仕上げられており、ユールの遊び心が感じられる”ターニングトレイ”においても、その色彩感覚の素晴らしさに触れることが出来ます。(※ターニングトレイは下記東京都美術館ミュージアムオンラインショップ並びにミュージアムショップで販売しております。いずれも売り切れ次第終了です。)

“Ingenuity and beauty in detail”

第二章で見られる数々の作品の中で、フィン・ユールが試みた様々な挑戦・工夫を垣間見ることが出来ます。高度な技術・木材が用いられることで人々にとって高価だった家具が、次第に機械による量産可能なデザインを必要とするようになってきた流れの中で、フィン・ユールも機械生産に適したデザインに向かってゆきます。その製作を最初に担ったボヴィルケ社によるこの”イージーチェア”は、フィン・ユール作品のうちで最も手加工を擁する肘部分の処理を成形合板を曲げ、なおかつカッティングによって有機的な美しい曲面に仕上げることを目指した作品だそうです。量産向けであってもユールならではのアイデアに満ちたボヴィルケ社の椅子は、後にデンマーク国外にも輸出されました。”カードゲームテーブル”はカードを引き寄せやすくするためにコーナーがせり上がっている造りや、輸送に配慮されたノックダウン構造(部品の状態で輸送し、現地で組み立てられる)の脚に創意工夫が見られる上に、チーク材のネジ隠しにメープル材が使用されるなど、細やかなディテールの美しさにも満ちています。

ユールは家具だけではなく、日用品もデザインしました。”壁掛け時計”は国連の信託統治理事会議場の設計時、その一部として生み出された作品だったとのこと。チェアや壁紙に至るまで空間全体を一体として設計した為、こちらの時計も長らく、この場所でしか見ることが出来ないものだったそうです。この時計はチーク材で出来ておりますが、フィン・ユールは難しいと言われていたチーク材の加工方法を改善することでデンマーク家具の主要な材料に確立したことでも有名だそうです。また、反対面が別の色で仕上げられており、ユールの遊び心が感じられる”ターニングトレイ”においても、その色彩感覚の素晴らしさに触れることが出来ます。(※ターニングトレイは下記東京都美術館ミュージアムオンラインショップ並びにミュージアムショップで販売しております。いずれも売り切れ次第終了です。)

東京都美術館 企画展「フィン・ユールとデンマークの椅子」会場の様子
東京都美術館 企画展「フィン・ユールとデンマークの椅子」会場の様子
東京都美術館 企画展「フィン・ユールとデンマークの椅子」会場の様子
東京都美術館 企画展「フィン・ユールとデンマークの椅子」会場の様子
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まだまだご紹介しきれない程多くの素晴らしい作品に満ちた本展覧会。隅々まで眺め、ディテールを楽しみ、最後の第三章では美しさと機能美に溢れた作品達に実際にお座りになってみてください。前回・今回ともに、展覧会内の解説文と、下記でご紹介する本展覧会の図録も参照して書かせていただきました。深く感謝を致します。またこのような素晴らしい機会には是非足を運び、皆さまにお知らせさせていただきたいと思います。お読みいただき誠にありがとうございました。最後に、展覧会と図録の情報を下記に掲載させていただきます。

東京都美術館 企画展「フィン・ユールとデンマークの椅子」
2022.7.23(土)~10.9(日)東京都美術館ギャラリーA・B・C
開室時間: 9:30~17:30(金曜日 9:30~20:00)(入室は閉室の30分前まで)
休室日: 9月5日(月)、9月20日(火)、10月3日(月)
主催: 公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都美術館
後援: デンマーク王国大使館
特別協力: 北海道東川町、織田コレクション協力会、旭川家具工業協同組合、デンマーク・デザイン・ミュージアム、ヴィルヘルム・ハンセン財団
協力: スカンジナビアンリビング、Onecollection A/S / House of Finn Juhl、デニッシュインテリアス株式会社、カール・ハンセン&サンジャパン株式会社、フリッツ・ハンセン、ルイスポールセンジャパン、レ・クリント
学術協力: 織田憲嗣(東海大学名誉教授)、多田羅景太(京都工芸繊維大学助教)
助成: 公益財団法人花王 芸術・科学財団、公益財団法人朝日新聞文化財団
公式サイト:
https://www.tobikan.jp/finnjuhl
※事前予約不要ですが、混雑時に入場制限を行う場合があります。

「フィン・ユールとデンマークの椅子」展覧会図録 情報
・出品されているすべての椅子の解説を掲載しています(第3章を除く)。
【販売価格】2,900円(税込)
【販売場所】
・展覧会場 (売り切れ次第終了)
・東京都美術館ミュージアムオンラインショップ (売り切れ次第終了)
https://hmm.tobi-museumshop.com/categories/4518694

まだまだご紹介しきれない程多くの素晴らしい作品に満ちた本展覧会。隅々まで眺め、ディテールを楽しみ、最後の第三章では美しさと機能美に溢れた作品達に実際にお座りになってみてください。前回・今回ともに、展覧会内の解説文と、下記でご紹介する本展覧会の図録も参照して書かせていただきました。深く感謝を致します。またこのような素晴らしい機会には是非足を運び、皆さまにお知らせさせていただきたいと思います。お読みいただき誠にありがとうございました。最後に、展覧会と図録の情報を下記に掲載させていただきます。

東京都美術館 企画展「フィン・ユールとデンマークの椅子」
2022.7.23(土)~10.9(日)東京都美術館ギャラリーA・B・C
開室時間: 9:30~17:30(金曜日 9:30~20:00)(入室は閉室の30分前まで)
休室日: 9月5日(月)、9月20日(火)、10月3日(月)
主催: 公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都美術館
後援: デンマーク王国大使館
特別協力: 北海道東川町、織田コレクション協力会、旭川家具工業協同組合、デンマーク・デザイン・ミュージアム、ヴィルヘルム・ハンセン財団
協力: スカンジナビアンリビング、Onecollection A/S / House of Finn Juhl、デニッシュインテリアス株式会社、カール・ハンセン&サンジャパン株式会社、フリッツ・ハンセン、ルイスポールセンジャパン、レ・クリント
学術協力: 織田憲嗣(東海大学名誉教授)、多田羅景太(京都工芸繊維大学助教)
助成: 公益財団法人花王 芸術・科学財団、公益財団法人朝日新聞文化財団
公式サイト:
https://www.tobikan.jp/finnjuhl
※事前予約不要ですが、混雑時に入場制限を行う場合があります。

「フィン・ユールとデンマークの椅子」展覧会図録 情報
・出品されているすべての椅子の解説を掲載しています(第3章を除く)。
【販売価格】2,900円(税込)
【販売場所】
・展覧会場 (売り切れ次第終了)
・東京都美術館ミュージアムオンラインショップ (売り切れ次第終了)
https://hmm.tobi-museumshop.com/categories/4518694