普段は隠れているベッドのスラットを露出させるという、シンプルでインテリジェントなアイデアから生み出されたベッド”TADAO”。マットレスを支える強靭なスラットは、上方に伸びてヘッドボードを形成しています。”オリエンタルな雰囲気のベッド”とFlouのページにて紹介されているこの”TADAO”ですが、建築と深い関係性を持つミラノの家具業界において、これはデザイナー、ヴィコ・マジストレッティによる、日本の建築家”安藤忠雄”へのオマージュではないか?と云われているそうです。

ヴィコ・マジストレッティ73歳、晩年の作品といえる”TADAO”が発表された1993年、52歳の安藤忠雄はパリのポンピドー・センターにて個展を開催、その2年後には建築界のノーベル賞と云われるプリツカー賞を受賞し、ピューリッツァー美術館のデザインを行うなど、躍動の時代を迎えていた頃です。―マジストレッティの”TADAO”からは、安藤忠雄の代表的作品の一つである「光の教会」にも見られる、”シンプルな造形の中に光が差し込んで生み出される空間”を彷彿とさせているような気がします。